ナチュラル・ボーン・キラーズ

タランティーノ脚本、『プラトーン』、『サルバドル』のオリバー・ストーン監督、「メディアが作った殺人鬼」的なコピーなどなど期待値はかなり上がるのだが、見てみるとなんだかなあという作品でした。まあ、あくまで空想の中での殺人に魅せられたタラと、現実に人を殺しているストーンでは水と油だったのかも。
メディアということを意識させようとしたのか、目まぐるしく変わる映像も目が疲れるだけ。MTVもどきと言われて監督は反論したらしいが、「オレだってできるぜ」という思いから手を出したんじゃないかなあ。思いっきり失敗してるけど。無理して若者に迎合しようとするとロクなことはないのだ。若い女の子と一緒にカラオケに行って、おじさんもいけるよとアピールしようとして微妙に古い歌を選択し、余計に寒くなる状況と一緒だ。
映画内でのメディアの関わらせ方も中途半端で微妙。『ありふれた事件』みたいに、もっと関わった方が面白くなるだろうし、カメラを回すということが凶器になることを監督は重々知っているはずだから、その辺をもっと突っ込んで欲しかった。そのへんは『ゆきゆきて、神軍』の方が圧倒的だ。しかも実話だし。
話も、インディアンのシーンとか余計なところが多すぎる。しかもその場面が無意味に長い。これは、最近のオリバー・ストーンの特徴になるのだが。
だから、全体的には失敗作と言っていいと思うが、これを見て実際に殺人を犯したりしたヤツらがいたということなので、ストーン的には意図が的中した成功作ということになるのかもしれない。

★★


監督:オリバー・ストーン
出演者:ウディ・ハレルソン、 ジュリエット・ルイス、 ロバート・ダウニー・Jr、 トミー・リー・ジョーンズ
収録時間:119分

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いこかもどろか

当時大ヒットした『男女七人○物語』のさんまと大竹しのぶのキャラをそのまま使った便乗映画。TVを見てた人が劇場に来るだろうという安易な目算で進められた企画をお祭り的な感じで映画にする、今流行の映画の先駆けと言えるかもしれない。普通だったら最も忌み嫌う種類の映画だが、この映画はなかなか面白かった。
とりあえず、当時付き合っていた二人の掛け合いが絶妙で、その会話だけでも面白い。2時間をほぼ二人だけで持たせてしまうような役者が、今の日本にいるのだろうか。昔のさんまのしゃべりは、やっぱり天才的だなあと思える。最近はちょっとキレがないが。
物語はまあTV的なドタバタコメディですが、制作側が映画を作っているという意識がちゃんとあるように思う。TVとは明らかに違う作り方、例えば画面の作り方やサブのキャラなどをしっかりとやっているので、ちゃんと見れるのだ。ラストもチェイスシーンで盛り上げ、車が爆発するし、こういった娯楽映画として当たり前のことをちゃんとやっているだけでも、エラいと思う。最近の邦画は、こういうことから逃げてるからな。そう考えていくと、今の邦画は、昔のテレビドラマ以下ってことになりかねないなあ。

★★★★


監督:生野慈朗
出演者:明石家さんま、 大竹しのぶ、 小林稔侍、 渡辺えり子
収録時間:109分

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ブレインデッド

今ではすっかり大監督の仲間入りを果たした、ピーター・ジャクソンの初期の作品。しかし、このころからもはや今の作風が全開です。冒頭はまるっきり『キング・コング』だし、グチュグチュ、ヌルヌル感は充満しているし、ヒロインの顔が長い。これはおそらくピーター・ジャンソンの趣味なんだろうが、この女の趣味という部分だけは自分と合わない。非常に残念だ。
内容的には『死霊のはらわた』をもっと押し進めたものという感じ。これはピーター・ジャンソンがどうしてもやりたかった内容というより、低予算で全世界にアピールできる映画という、マーケット的な計算から生まれた内容という感じがする。だからといって作品に対する情熱がないなんてことはなく、むしろ、見ている人を一番に考えて作るというピーター・ジャンソンの資質がよく現れているし、結果、世界中で大ヒットして、憧れの『キング・コング』を撮れるまでになったのだから、この映画に詰まっている情熱は半端じゃない。
内容も、ただゾンビがグチャグチャと死んでいくだけではなく(といっても95%はそんな映画だが)、深読みすれば、ボケた母親を介護したり、言うこときかない赤ちゃんに苦労するという、家族を持つということの苦労を描いているともいえる。また、母親からの男の自立を描いている作品でもあろう。いろいろな障害を乗り越えて、本当に自分が進みたい道へ立つというのがこの映画のラストだ。そして、男は自分の夢(例『キング・コング』)を実現するのだ。

★★★★

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鉄コン筋クリート

原作は松本大洋の有名なマンガですが、あの絵と独特の言い回しが、自分にとっては非常に読みづらいマンガで、途中であきらめてしまった経緯がある。でも、見てみたい作品だったので、動く映像でセリフを喋ってくれて、2時間で見られるというだけでも映画化してくれてよかった。
ということで、何の予備知識もなく見たのだが面白かった。声優陣も素晴らしかったと思う。特に田中泯は最高。ただ、シロは『ピンポン』の窪塚と同じしゃべり方でしたが、松本大洋キャラの基本なのだろうか。世界観も、松本大洋の世界を上手に見せていたのではないかと思うのですが・・・なにぶん原作を見ていないので。ただ、この映画で面白いと思った所は、多分、原作の面白さであって、この映画自体がよいと思う部分は少なかったように思う。そう思うのは、この映画、というかアニメーションの最大の見せ場であるはずのクロ対イタチのシーンがダメだったからだ。この場面こそが、絵が動かない原作に、映画が勝てる唯一の勝負所であったはずなのに。アニメーション映画が、その動きや映像よりも、キャラやセリフやお話の方が断然面白いというのは、原作に完敗しているということだろう。
とりあえず、もう一度原作にチャレンジしようと思います。

★★★★★

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氷の微笑

マンチラで有名な映画。自分も昔に一度見たが、ここしか記憶になかった。それくらい強烈なシーンが一つでもあれば、映画は後世に残るのだ。ちなみに、そのシーンでのメガネのおっさんの顔は最高だ
で、改めて見るとしっかりとしたお話があって、セリフもいい感じで普通によい映画でした。サスペンスとしても充分楽しめると思います。裸もたくさん出てきて、そういう方面からも期待に添う作品となっています。
ただ、主役のマイケル・ダグラスがどうもダメでした。容疑者であるはずのトラメルの魅力にどんどんハマっていって、ついにヤッちゃうという悪女もののはずなのだが、マイケルでは会った瞬間にヤルことしか考えていなそうに見える。だから、引き込まれていく心理サスペンスが感じられない。あと、年齢も上すぎるとも思う。ベッドシーンとかを見ていると、渡辺淳一作品の映画みたいに見えてきて、とたんにげんなりしてしまう。
邦題も良いと思います。原題マンマが多い最近の映画もガンバって欲しいものだ。

★★★★


監督:ポール・バーホー
出演者:マイケル・ダグラス、 シャロン・ストーン、 ジョージ・ズンザ、 ジーン・トリプルホーン
収録時間:128分

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ユナイテッド93

一言で言えば、ズルい映画だ。あの事件の衝撃が覚めやらぬ中、この出来事(事実かどうかはわからないが)を映像化するというだけで、始めから面白さは2割増だろう。最初の20分くらいなんて、ただの空港周りの日常風景で、普通の映画だったらその時点で不合格ものだ。でも、この映画は後半に待っている事実を知っているので、ただの日常風景が物凄い緊張感と一寸先は闇という恐怖感を増長させる。
主人公というような人はいない。カメラも報道カメラのように揺れ動く。だからこれは、いわゆる劇映画ではなく再現映像なのだ。だからってダメというわけでは決してない。不安定なカメラの割に大事な所はしっかりと撮れてるし(当たり前だが)、編集は抜群に上手くて当日のドタバタな状況がよく伝わる。その一方で、ハイジャックを決行する前の飛行機内の、太陽光の差し込む穏やかな映像の対比が見事。そして一番凄いと思ったのは、ラストカット。想像だにしなかった映像で、終わった後の余韻が強く残る。結論としては、100点の2割増で120点の出来だというくらい面白い映画でした。
それにしても、アメリカの軍関係者ですら、一般の日本人の自分と同じ目線でしか、あの映像を見ていられなかった思うと、腰が砕ける。アメリカの軍事費は何に使われているのか。そして、その時に幼稚園児と絵本を読んでいた大統領って・・・。

★★★★★★★


監督:ポール・グリーングラス
出演者:コリー・ジョンソン、 タラ・ヒューゴ、 シェエン・ジャクソン、 ジョン・ロスマン
収録時間:111分

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トレマーズ

砂漠地帯の地下に謎の巨大生命体が蠢いていて、人間を食べようと襲いかかってくる。端的にいうと『ジョーズ』の陸上版。というかもろパクリ。まあ、パクろうがなんだろうが面白ければいいわけで、その点この映画は合格だ。
映像・特撮もなかなか頑張っているし、砂漠に埋もれた車なんていう画は、詩的ともいえるくらいだ。ただ、この怪物(名前をつけるべきと激論していたのに最後まで名前がないかわいそうなヤツ)との知恵比べのレベルが低い。劇中「ヤツは頭がいい」と何遍も言うが、所詮、頭から壁に激突して死んじゃうようなヤツなのだ。まあ、アメリカの田舎の人って・・・。というか、こんな砂漠地帯に住んでいる人が本当にいるのだろうか。そっちばかり気になって映画に集中できなかった。
『ジョーズ』のパクリ映画であるこの映画も、屋根の上でのシーンなどでは『ドーン・オブ・ザ・デッド』でパクられている。作品はこうして連綿と続いていくのだなあ。

★★★★

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グエムル 漢江の怪物

タイトル通り怪物が出てくるが、ゴジラやガメラのようなのを期待していると全然違うので注意が必要。いわゆる怪獣映画ではなくて、災害映画でありホームドラマでもあり、反アメリカな作品です。
ただし、冒頭の怪物出現シーンは素晴らしい出来です。冒頭20分くらいは、正真正銘の怪獣映画だ。CGもいい出来だし、怪物の大きさもリアルで、今までにない怪獣シーンになっていると思う。しかし、後半に進むにつれて、怪獣映画という要素は薄れてきて、家族のドラマが中心になってくる。怪獣は所詮、物語の狂言回しにすぎない。そこがこの映画が怪獣映画ではない大きな点だ。
で、画期的なのは、その家族たちが本当にダメ人間でしかないという点だ。人間的な成長もあんまりないし、驚くほどのバカさ&ダメっぷりだ。その為に相当に悲惨なことになる。悲惨すぎてバカすぎて、笑うに笑えない感じは、スピルバーグの影響なのかなあ。この怪物ってのは要は資本主義の悪所で、その資本主義を持ち込んだアメリカのせいでバカで貧乏な人間が多くなってしまった韓国人が、アメリカ人でも倒せなかった怪物を倒すという幻想ともとれるかなあと思いました。
それにしても、ソン・ガンホはいい役者だ。この映画でのダメっぷりは、別の映画でキレる軍人とか演じていた人と同一人物とは思えない。日本にもソン・ガンホのような顔で勝負しない役者がもっと欲しいものだ。役者だけではない。このように、韓国が世界に通用する映画をたくさん制作しているのに、日本では「泣ける」とかが売りだけのTVみたいな映画ばかり。怪獣映画発祥の地でもあり、災害大国の日本で、このような作品が作れない日本映画の現状は悲しくなる。現在の日本映画は客が入っているそうだが、その搾取したお金をちゃんとした映画を作るほうに回して下さい。韓国がで搾取したお金で立派な映画を作っているように。

★★★★★★


監督:ポン・ジュノ
出演者:ソン・ガンホ、 ピョン・ヒョボン、 パク・ヘイル、 ペ・ドゥナ
収録時間:120分

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エルム街の悪夢

後にシリーズ化され、最終的にはジェイソンと対戦することになるフレディのデビュー作。ちなみにジョニー・デップのデビュー作でもあります。
夢の中で襲われると、現実でも傷つき死んでしまうというアイデアが抜群。寝ることが至福な自分にとっては、寝たら殺される=寝れないというのは恐怖の2乗です。夢の中だから、ある程度の変な部分(予算の関係でショボイ部分も含めて)が許されるってのがいい。殺し方も現実的な縛りがないから、ジェイソンみたいにワンパターンに陥ることもなく、いろいろなアイデアで殺せる。シリーズになるのも頷ける。
リアルである必要がない、想像し得る画であれば問題なしということだから、正に純粋なホラー映画といえると思う。だからこそ、現在のCGを使いまくった方が面白いモノが出来ると思うので、是非リメイクして欲しい作品だ。だからといってこの作品の特撮がダメなどということはなく、素晴らしい映像が満載なので、リメイクするにも容易にはやって欲しくないのだが。
お話もしっかりとしていて、フレディとは何者か?というミステリーな部分もあり、思春期の不安定な感じや親子の断絶というものも、ちゃんと描かれていると思う。フレディとの決着のつけ方が、精神論に行き着くというのも深い。ラストは夢オチなのかなんなのかよくわからなくなるあたりも含めてフレディに取り憑かれてしまっているのだから誰か起こして下さい。

★★★★★


監督:ウェス・クレイヴン
出演者:ヘザー・ランゲンカンプ、 アマンダ・ワイス、 ジョン・サクソン、 ロニー・ブレイクリー
収録時間:91分

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狼男アメリカン

ホラー・コメディと紹介されていたので『13金』シリーズの後半のようなモノかと思って見たら、今まで見たホラー映画の中でも、かなりリアルで怖い映画でした。どこがコメディなの?
確かに笑えるシーンもあるが、そういう場面はほとんどが主人公の妄想のシーンだ。これはアイデンティティの崩壊で、精神がおかしくなってきたということだから笑いよりもゾクッとする怖さの方が大きい。全裸で動物園というシーンも、今までホラー映画が避けてきたシーンをあえて見せているということで、笑えるけれどもリアルさが強調されて、やっぱり怖さが増す。唯一心から笑えたのは、映画内映画(See You Next Wednesdey)のおっさんが間違えて部屋に入ってくる場面だけ。
見知らぬ地での孤独感、自我の崩壊、友達を見捨てた罪悪感、ラストのあっけない感じ、彼女が働きに出てしまった後のヒマな感じなど、リアルな描写ばかりでとても無邪気に笑える映画ではなかったです。逆に、怖い映画としては最高に恐ろしい映画だと思う。特殊メイクも素晴らしい。

★★★★★


監督:ジョン・ランディス
出演者:デビッド・ノートン、 ジェニー・アガター、 グリフィン・ダン、 ジョン・ウッドヴァイン

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